ベネッセ調査 「幼児期の家庭教育国際調査」日本・中国・インドネシア・フィンランドの母親を対象に 小学校入学に向けて育みたい《学びに向かう力》は各国共通の5領域


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配信元:私塾界 03月12日08時54分

株式会社ベネッセホールディングス(岡山市)の社内シンクタンクであるベネッセ教育総合研究所は、2017年に、アジア3か国とフィンランドの都市圏で、幼児期の子どもを持つ母親を対象に「幼児期の家庭教育国際調査」を実施した。

調査は、母親の子育て意識・実態や、小学校入学に向けて幼児期に育みたい力として設定した《学びに向かう力》《文字・数・思考》《生活習慣》の発達状況と保護者のかかわりについて、国による違いや共通点を明らかにすることを目的にしている。今回の調査では、日本と同じアジア圏より、経済的な成長が著しく、日本と同様に幼児教育の中で非認知的なスキルを重要視している中国、多様な民族が融合しているインドネシア、アジア圏との比較のためにヨーロッパ圏からフィンランドを対象にした。このニュースでは、小学校入学に向けて育みたい力のひとつである《学びに向かう力》について取り上げている。

《学びに向かう力》について:
ベネッセ教育総合研究所では、幼児期に育みたい生涯にわたって必要な力、小学校入学以降の学習や生活につながる力として、「好奇心」「協調性」「自己主張」「自己抑制」「がんばる力」の5つの非認知的なスキルを《学びに向かう力》として定義した。ベネッセ教育総合研究所では、2012年より《学びに向かう力》の縦断研究(「幼児期から小学生の家庭教育調査」)に取り組み、幼児期の《学びに向かう力》が、「言葉」などの認知的なスキルの土台となることを明らかにしている。

【調査の主な結果】
1.小学校入学に向けて育みたい力のひとつである《学びに向かう力》は、社会文化的な環境が異なるにもかかわらず、4か国で共通の5領域―「好奇心」「協調性」「自己主張」「自己抑制」「がんばる力」―で構成されていることがわかった。
2.《学びに向かう力》の5項目の内、いずれの国でも、「好奇心」の得点がもっとも高い傾向。一方で、「がんばる力」や「自己抑制」は、得点が低い傾向があった。
3.《学びに向かう力》や、《生活習慣》などの自立にかかわる力の育成を子育てにおいて重視する傾向も各国共通しており、どの国でも8~9割の母親が「力を入れている」と回答。
4.母親の「寄り添い型養育態度」が、いずれの国でも「好奇心」や「がんばる力」の発達に関連している。「好奇心」や「がんばる力」を育てるうえで、保護者のかかわり方が重要。

【調査の背景と目的】
 グローバル化やIT化など、国際的に社会環境の変化が加速する中で、既存の知識を身につけるだけでなく、環境に柔軟に適応し、学び続け、課題を解決しようとする姿勢や力が必要と考えられるようになっている。そして、そのような姿勢や力を幼児期から育むことの重要性が、世界的に注目されている。
 ベネッセ教育総合研究所では、この姿勢や力を《学びに向かう力》として、2012年より、年少期から毎年、国内で縦断調査を行ってきた。そのなかで、《学びに向かう力(非認知的スキル)》の形成のプロセスと、《生活習慣》や、《文字・数・思考(認知的スキル)》との相互影響の様子、保護者のかかわりの影響について明らかにしてきた。

2017年、研究対象を国外に広げ、社会文化的に異なる環境に暮らす幼児の《学びに向かう力》《生活習慣》《文字・数・思考》の発達と保護者のかかわりを把握することを目的に、日本・中国・インドネシア・フィンランドの都市部で調査を行った。尺度は、2012年の国内調査(「幼児期から小学生の家庭教育調査」)で設計したものを、各国の文化・習慣に合うように留意しながら翻訳し、使用。また、幼児期の家庭での教育・養育の実態や、保護者の教育・育児意識も合わせて調査し、背景となる環境や意識の違いや共通点を把握した。いずれの国も、各国の子どもたちが小学校に入学する月の1~3か月前に時期を合わせて調査を行った。

【結果のまとめ】
 調査結果より、幼児期の《学びに向かう力》の形成については、どの国においても、「好奇心」「協調性」「自己主張」「自己抑制」「がんばる力」の5つから構成されていた。そして、いずれの国も、母親の「寄り添い型養育態度」が、「好奇心」「がんばる力」等の非認知的スキルに関連する項目の発達と関連していることがわかった。また、各国の母親の子育て方針についても、子どもの《学びに向かう力》や《生活習慣》に関連することを重視している傾向が共通してみられた。

グローバル化・IT化が急速に進む社会においては、異なる文化に対する「好奇心」、コミュニケーションの上では「協調性」や「自己主張」、「自己抑制」、そして、困難な環境にあっても「がんばる力」といった、非認知的スキルがより重要であると考えるが、その力が、いずれの国の家庭においても、幼児期に共通して育まれていることがわかった。また、その力の成長が、保護者の子どもの意思を尊重したり、子どものがんばりを見守る形で支援したりするようなかかわりかたと関連することは、国を超えた貴重な知見と言えると考えられる。保護者や、幼児教育にかかわる方々にとって、本調査の結果が、各国でのよりよい幼児期の養育を考える際の示唆となることを願っている。

【データに関する留意点】
・図表・文中では、国名を記載していますが、調査は各国の都市圏で実施しており、調査国全体の平均値を示すものではないことにご留意ください。(日本:首都圏、中国:上海・北京・成都、インドネシア:ジャカルタと近郊4市、フィンランド:エスポー他3市)
・中国、インドネシア、フィンランドは、地域性やサンプリングの影響で、世帯収入と母親の学歴が、平均より高い傾向があります。
・中国については、自記式質問紙調査のため、「無答不明」が生じていますが、分析に当たって
は、設問ごとに「無答不明」を欠損値として除外して算出しています。

※本調査結果は、2018年3月18日、チャイルド・リサーチ・ネット主催「アジア子ども学交流プログラム第2回国際会議」(2018年3月17日―18日)でも紹介します。
http://www.blog.crn.or.jp/crnasia-2017.html

※2018年夏ごろ、本調査より、「母親のワーク・ライフ・バランス」に焦点をあてた分析結果を発信する予定です。

●ベネッセ教育総合研究所のホームページからも、本資料をダウンロードできます。
http://berd.benesse.jp/

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