AOの見直し加速、大学に教育改革問われる


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教育問題 AOの見直し加速、大学に教育改革問われる

配信元:私塾界 10月30日08時22分

中央教育審議会・高大接続特別部会が9月28日に開かれた。今後1年ほどかけて大学入試の改革策を協議していく。ところが、この部会で早くも二人の委員がAO(アドミッション・オフィス)入試の制度を巡り意見が対立した。その内容は、入試事情に詳しい現役の国立大教員である両者が「AO入試で入学した生徒が一般入試で入学した成績を上回る」という一方で「それは違うのではないか、客観的なデータが必要だ」ということだ。

日本で初めて導入されたAO入試は、1990年に慶応義塾大湘南藤沢キャンパス(SFC)。それからAO入試は着実に広がり、全国の大学の7割が導入し、8.5%の学生がAOで進学している。そもそもAO入試は、知識偏重の筆記試験への反省から、高校の成績や小論文、志望理由書、面接などを組み合わせる、米国流のきめ細やかな選抜が特徴だったはず。

筑波大学は2000年に東北大などと同時期に国立大初のAO入試を導入した。ところが、13年度の入試から同大学の応用理工学類はAO入試を廃止することを決定した。その原因はAO入試で入学した学生の基礎学力の低さである。

AO入試では熱意や化学コンテスト入賞歴などを評価して合格させたが、授業についていけない。累計約20人の入学者のうち、半数が留年、中退したりした。これは応用理工学部に限ったことではなく、AO入試は毎年定員の3~5倍の志願者がいるが、期待するレベルを満たすのはごく一部。今春入学者の定員は81人だったが、合格者は56人。自主研究でも運動でも高校でよほど実績がないと無理に合格させないとのことだ。

文部科学省によると、国公立大のAO入試による募集定員数は13年度に初めて減少に転じるといい、「青(AO)買い」「オールオーケー入試」と言われるほどにイメージは低下しつつある。確かに定員割れに悩む大学の多くが、格好の学生獲得手段に使ったことは否めない。

しかし、日本経済新聞の取材に答えたSFCの村井純・環境情報学部長は、「どんな学生でも受け入れられる環境があるからAOが機能する。選抜で学力を重視しなければ、学力が低い学生が増えて当然で、多くの大学の失敗の原因はその受け入れ態勢にある」と断言する。

AO入試は、大学側に受け入れた学生をきちんと育てる教育システムがあるのが大前提だ。AO入試をめぐる問題は、教育改革を伴わない入試改革に疑問を投げかけているといえよう。

私塾界

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