立命館大学(京都市)が、国からの補助金削減を避けようと、4月に開設された生命科学部(滋賀県草津市)の新入生415人に、他学部への「特別転籍」を募り、8人が応じていたことがわかった。
文科省の私立大学等経常費補助金は5月1日時点の学生数などで決まるが、定員の1.4倍以上の学部の分は交付されない。立命館大によると、生命科学部の場合、「何千万円単位」のカットになる見込み。
今回の他にも、立命館大学は、93年に文、国際関係、94年に理工、99年に政策科学の各学部でも入学者が定員を大きく上回り、同じ理由で入学直後に転籍を募ったという。
立命館の措置について、関西学院大学(兵庫県西宮市)の担当者は「人数の設定はギリギリのところでやっているが、10年以上この仕事をしていて(転学部で対応する話は)聞いたことがない」と驚きを隠せない様子。同志社大(京都市)は「ここ数年で超過したことはない。もっと以前なら調べてみないと分からないが」とした。
法政大や、07年度に新設した政策創造学部の超過率が高く、補助金を減額された関西大(大阪府吹田市)は「コメントすることはない」。近畿大(東大阪市)の担当者は調整の難しさには一定の理解を示しつつ、転学部という措置については「他大学のことなので」とするにとどめた。
志磨慶子・立命館大学教学部事務部長は「学生数の超過は、教育環境の悪化を招く。補助金削減などで経営面にも影響があり、転籍を呼び掛けた」と説明している。
文部科学省によると、学部の転籍をめぐる法的規定はない。しかし、同省の担当者は「転籍先の学部を不合格となった受験生もいたわけで、入学直後に転籍させるのは入試の公正性からも良いとは言えない」とし、立命館大から事情を聴き、補助金目当てだった場合に違法性がないかどうかを検討するという。
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