名古屋市立大大学院医学研究科の博士号取得をめぐる汚職事件で、収賄罪に問われた同科元教授の伊藤誠被告(68)に対し、名古屋地裁は8日、懲役2年執行猶予3年、追徴金270万円(求刑懲役2年、追徴金270万円)の判決を言い渡した。
村田健二裁判長は、量刑の理由について「職務の公正のみならず、博士の学位の重みに対する社会の信用を著しく損なうもので、刑事責任は決して軽いとは言えないが、反省している」と述べた。
起訴状によると、伊藤被告は医学研究科教授だった2005年3月25日付の医学博士号の学位審査で、学位申請者に口頭試問の質問内容を事前に漏らした見返りに、13人から現金計270万円を受領した。
愛知県警は今年3月、贈賄容疑で医師13人を書類送検したが、名古屋地検は「現金の供与は慣習に倣ったもので、医師らは反省している」として、いずれも起訴猶予処分とした。