2013年の大学改革 学校法人会計基準の抜本改正


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大学 2013年の大学改革 学校法人会計基準の抜本改正

配信元:私塾界 01月25日08時32分

文部科学省は、2013年春に私立大学を対象にした学校法人会計基準の抜本改正に乗り出す。企業や公益法人の会計を参考に、教育研究活動の収支状況、資金の動きなどを把握しやすいよう決算書の様式を変える。少子化が進むなか、財務の透明性や分かりやすさを高めて健全な経営を促し、受験生の学校選びなどに役立ててもらう狙いだ。

大幅改正は1971年に現在の会計基準を導入して以来初めて。今春に改正の手続きを済ませ、14年度から本格導入する。必要に応じて猶予期間を設け、16年度までには約8000あるすべての学校法人で導入を終えさせたい方針だ。柱となるのが財務諸表の改正だ。まず企業の損益計算書に相当する「消費収支計算書」。名称を「事業活動計算書」に改め、企業会計の仕組みに近づける。例えば、教育研究など本業部分で生じる経常的な収支と、臨時の資産売却などに伴う特別収支を分けて表示。その年度の赤字や黒字の要因を分かりやすくする。

新制度では、その年度に赤字になった場合、本業部分が不振だったのか、あるいは一時的な原因があったのかが一目で分かる。これまでこうした区分はなく、学校会計に不慣れな受験生などが大学財務を分析するのは困難だった。

さらに大学の損益状況も明確になる。改正前は企業の最終損益に当たる項目がなく、自分で算出する必要があった。改正後は「当年度収支差額」として、その年度の損益状況を明記。外部の人も事業活動計算書を見れば、その大学が黒字なのか、赤字なのか、簡単に把握できるようになる。

このほか企業のキャッシュフロー計算書に相当する「活動区分別資金収支表」も導入する。これまで区分がなかった「教育研究」「施設整備」「財務」の3つの活動ごとに資金の流れを示すものだ。本業である教育研究で余裕資金をどの程度生んでいるかが分かるようになる。

現行の学校会計は国や自治体から補助金をもらうためにつくられる書類で、一般の人には非常に分かりづらかった。しかし18歳人口の減少などで、全国の私立大の経営環境は悪化し続けている。日本私立学校振興・共済事業団によると、10年度時点で約4割の私立大学が赤字に陥っており、分かりやすい情報開示制度の整備が課題となっていた。

文科省は学校会計を外部の人にも分かりやすく改めることで、各大学経営の改善につなげたい考えだ。法人の破綻リスクを開示する「継続法人の前提」制度の導入を見送るなど課題は残ったが、40年ぶりの抜本改正で今後は大学の選別が進みそうだ。

私塾界

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