不登校やいじめなどの問題を抱える生徒の心のケアだけでなく、家庭での環境などの改善にも取り組むスクールソーシャルワーカー(SSW)が導入から2年を迎えた。
効果を高く評価する声がある一方で、財政上の理由から、今年度は派遣人数を縮小したのが実情という声がある。
スクールソーシャルワーカーは、子どもを取り巻く環境の改善に主眼を置く、社会福祉の専門家である社会福祉士や精神保健福祉士の資格を持つ人による心のケアである。学校と協力しながら、家庭や児童相談所などの関係機関とも密に連携し、問題解決をしていく。一方、95年度から導入されているスクールカウンセラー(SC)は心のケアが中心である。
スクールソーシャルワーカーは、生徒の家庭環境などを改善することで抜本的な問題を解決することを目的とし、社会福祉士などの経験を持つ人が多く、養育放棄、虐待、いじめ、不登校などの問題に応じて、児童相談所や警察などと学校との仲介役としても活動する。
不登校の小中学生は12万9254人で2年連続増えている。中学生での発生率は過去最高の2・91%で「34人に1人」の割合。これをスクールソーシャルワーカーでは市単位で2008年度小学生、中学生合わせて約13人の不登校児童を救ったという。
文部科学省はスクールソーシャルワーカーの拡充を図ろうとしたが、2009年から学校派遣が国の委託事業から補助事業に変わり、人数が削減した。委託の場合は国が人件費などを全額負担したが、補助事業になったため、費用の3分の2を自治体が負担しなければならず財政的に維持することが難しくなったためだ。
スクールソーシャルワーカーの認知度はまだ低く、定着するまでの数年は委託形式で続くとみられた中での切り替え。文部科学省は有効性が認められた証拠と説明する。
文部科学省:http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1246334.htm