ニチイ学館、教育事業を収益の柱にするのが課題


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学習塾・予備校・企業 ニチイ学館、教育事業を収益の柱にするのが課題

配信元:私塾界 12月03日08時42分

ニチイ学館(東京都、斉藤正俊社長)は、教育事業を「経営の長期安定に向けた戦略投資」と位置付けながらも事業の育成に苦戦しているようだ。2012年4~9月期の業績は、介護サービスの利用者増により上半期ベースで売上高が過去最高を更新したものの、今期に始めた英会話教室「COCO塾」が不振で、純利益はマイナスとなった。

今月9日に都内で開いた12年4~9月期の決算説明会で、斉藤社長は教育事業が足を引っ張ったと悔やんだ。理由はCOCO塾の不振。教室の開校の遅れや知名度の低さで受講生が計画を大幅に下回ったと説明した。

古くから手がけてきた資格取得の医学教育はリピーター獲得につながらないと考え、受講生に長期的に継続して講座を受けてもらう語学教育に注力する狙いで昨年、英会話教室のGABAを約100億円で買収した。今年4月から自社ブランドの英会話教室のCOCO塾も始めた。

GABAの子会社化で売上高は増加したものの、同部門の営業損益は19億円の赤字。COCO塾で21億円の赤字を出したのが響いた。講師となる外国人の人員確保と、効果的な広告戦略展開の2つに失敗し、出ばなをくじかれた。知名度不足で9月末までに開設した全国43拠点の受講生数は700人前後、売上高は4,800万円にとどまった。

同社は介護サービスの「ヘルスケア事業」、医療事務などの「医療関連事業」、医療事務講座や語学教室などの「教育事業」を手がけており、1971年に日本で初めて医療事務講座を開始して以来、介護などに事業の領域を広げてきた。

現在の稼ぎ頭はヘルスケアだ。介護が必要と認定された高齢者がサービスを自宅で受ける「在宅系介護」と、施設で受ける「居宅系介護」の両分野を展開。同事業は全体の売上高の過半を占める。全国の拠点数は今期中に訪問介護で60増の1,122に、訪問看護は43増の66にする方針だ。

介護サービスの利用者が増え、介護施設の稼働率も上昇。今年4月の介護報酬改定で減収のおそれがあったが利用者増で制度変更の影響は吸収できたという。売り上げの約4割を占める医療関連も順調で、病院や診療所の事務受託や経営支援のコンサルティングなどを展開。調剤薬局を含めた医療機関との契約数は9月末実績で期初予想を58件上回る10,158件となった。

「業績の安定には教育事業の安定が不可欠」とする同社。英会話事業を育成した先には、幼児英会話や国際医療など、同社の事業間の連携によるサービス展開も見据えている。

同社は今期からスタートさせた17年3月期までの5年間の「中長期経営戦略」で「売上高を前年対比で2桁成長を目指す」と強気の目標を掲げている。競争が厳しい語学教育業界のなかで、COCO塾の事業を早期に軌道に乗せ、医療事務や介護に続く安定した収益の柱にできるかが焦点といえよう。

私塾界

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