ジャーナリスト山本美香さんが私塾界に伝えたこと


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その他 ジャーナリスト山本美香さんが私塾界に伝えたこと

配信元:私塾界 08月22日08時40分

戦闘が続くシリア北部アレッポで取材中だった、独立系通信社ジャパンプレスのジャーナリスト、山本美香(45)さんが20日夜、アサド政権側の攻撃によって、死亡した。

当欄、塾ニュース担当者(私塾界編集部企画室)は、本年2012年1月13日、東京文京区のドームホテルにおいて、山本美香さん本人にインタビューしている。一期一会。いまやたいへん貴重な、出会いのひと時であった。

殉職というべきなのだろうか。テレビでオンエアされた、お父上(もと朝日新聞記者)の、「彼女はよくやった」という言葉が重すぎる。ここに謹んで哀悼の意を捧げるとともに、この場を借りて、私塾界2012年3月号に掲載された、ジャーナリスト山本美香氏へのインタビュー記事を抜粋、紹介する。合掌。

(リードから)
「メディアから「戦争ジャーナリスト」といわれる。その肩書に違和感を感じるのは記者だけだろうか。たまたま山本さんの取材対象への興味が紛争地であった、のではないか。ジャーナリストの役目は「監視し続けること」であるとも言う。センセーショナルな報道合戦とは一線を画す。そう言い切る山本さんの立ち位置は明確で、そこにはジャーナリズムの根源的な問いが内包されている」

(本文から)
「かつて、ロバート・キャパは「戦争写真家の一番の望みは失業することだ」と言いました。私もその通りだと思います。ただ、戦争や紛争はすぐには終わりません。復興の長い時間があってはじめて戦争が終わるのです。(中略)特にメディアの世界ではいちばん揉めているときに大挙して取材攻勢をかけますが、これぐらいかなと言う時にさっと引いてしまう。(中略)大切なことは戦後復興に動き出してからも見つづけてゆくこと、多様な視点から見続けることがジャーナリストとして重要だと思います」

「大学時代は教職課程も受け、教育についてすごく興味があり、教師になろうという希望がありました。マスコミか教師かという選択肢で悩んでいたんです。しかし進路を考え込んだ時、むくむくとわき出る感情があって、マスコミに決めました」

「ジャーナリストとして監視し続けるということ、それはおこがましいですが、ある意味、その取材先の人々の代弁者になることです。また海外のジャーナリストが入ることで、暴力が抑止されることもあります。現地の人と同じ目線で、どうなっているのですか、聞かせてください、という立場が重要だと思います。そうすると心を開いてくれる。現状を変えたいと言う想いが諦めから勇気に変わるのです。監視の先にあるもの。それはその原動力を産むことだと、今強く思っています」

私塾界

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