「"ずるさもうまさのうち"は本当なの!?」マリーシアについて


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情操教育 「"ずるさもうまさのうち"は本当なの!?」マリーシアについて

配信元:サカイク 12月16日08時44分

よく聞く言葉に「マリーシア」というものがあります。「ずるさもうまさのうち」というか、競り合いの時に手を使ったり、わざところんだり。はたして、そういうプレーはいいことなのでしょうか。それについて考えてみたいと思います。結論からいうと、ぼくはファウルすれすれのダーティなプレーをしなくても、相手からボールを奪ったり、競り合いで勝つ方法を教えたいし、そのためのトレーニングも与えてあげたい。だけど、ときとして、相手チームに汚いプレーをする選手がいることも、知っておいてほしいと思います。

■ 激しいプレーと悪質なプレーは違う。その見極めが大事
それに対して、いちいち「痛いなこのやろう」とか、「レフェリー! 服を引っ張りました」なんてアピールしてもしょうがなくて。ぼくが指導をしている中学校2年生にしても、いっしょに試合をすると、コーチであるぼくに対して、なんの遠慮もなく服を引っ張ってくる選手もいます。でもそれはマリーシア的な引っ張りではなくて、戦いなんですよね。ずるがしこいとか、そんなんじゃなくて、勝ちたい気持ちがあふれてきて、抜かれそうになると必死になって、思わず手が出てしまう。

プレーしている側からすると、集中しているから、少しぐらい引っ張られても気にしない。それが当たり前だというレベルになっている。だから、練習の時は多少のファウルがあっても流すし、試合以上のテンションでプレーする空間を作ることを心掛けています。

ぼくのチームの中2が練習試合をしたときのこと。ボールを持っている選手に対してガツンとぶつかって、マイボールにした。ぶつかられた相手は、ぶつかり合うということに慣れていないのか、「痛いなこのやろう!」と怒ってしまいました。だけど、ちょっと待ってほしい。サッカーはフィジカルコンタクトが認められているスポーツ。ぼくの目から見ても、たしかに激しいプレーだったけど、相手を傷つけようと思ってコンタクトしているわけではないように見えた。激しいプレーと悪質なプレーは違う。その見極めは指導者がしっかりしなくてはいけないし、選手も理解してほしいと思います。

■謝るよりも、次のプレーについて考えろ
マリーシアでおもしろい話があって、相手チームの選手がファウルをして、FKになりました。うちのチームの選手が痛がっていたので、相手チームの監督が、ファウルをしたそのチームの選手に対して「ちゃんと謝れ」って怒鳴っているのです。言われた選手は素直に、「ごめん。大丈夫?」と言いにいこうとしたんだけど、うちのチームは相手が謝っているときに素早くリスタートをして、そのプレーでゴールしてしまったんです。

ぼくは、うちのチームの選手たちの判断は「ナイスプレー」だと思っています。謝るのは、あとでいい。極端な話、試合が終わってからでもいい。別に、ファウルをした選手だって、ケガをさせようと思って蹴っ飛ばしたわけじゃないんだから。ボールを奪おうとして、足を蹴ってしまった。それはよくあることだから。

選手たちは、勝つために必死に考えています。ぼくは選手たちに、「たとえミスをしたとしても、いちいち味方に謝るな」と言っています。「謝るよりも、次のプレーについて考えろ」って。その習慣が、試合でも出てしまったんでしょう。ぼくらのチームの指導スタンスと、相手チームの指導方針の違いが浮き彫りになった出来事だったので、いまでもよく覚えています。


小島 直人//
こじま・なおと
海外での選手経験の後、指導者として中学、高校、地域クラブや東京ヴェルディコーチとして様々なカテゴリーの指導にあたる。情熱的で卓越したコーチングスキルには定評があり、NIKEエリートトレーニングでは専属コーチとして毎年1万人以上の中高生をクリニックで指導した。現在は、大森FCの代表を務める。

記事提供:少年サッカーの保護者向け情報サイト[サカイク]

サカイク

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