花を咲かせる植物のホルモン「フロリゲン」を受け取って開花を進める受容体を奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科(奈良県生駒市)の島本功教授や、大阪大学蛋白質研究所(大阪府吹田市)の児嶋長次郎准教授らのグループが世界で初めて解明し1日付のイギリスの科学誌ネイチャー電子版に発表した。
フロリゲン(花咲かホルモン)は、植物が気温などの環境からの刺激を受けて葉で作られた後、花を作る組織である茎の先端部に移動し、花を咲かせるホルモン。2007年に島本教授らによってフロリゲンの正体がHd3aと呼ばれるタンパク質であることが発見されていたが、メカニズムについては不明のままだった。
島本教授らのグループは今回の解明により、キクやイネでホルモンと受容体の結合強度を変えて、開花を早くしたり遅くすることにも成功した。フロリゲンとその受容体はすべての植物に共通する普遍的な物質なので、今後は好きな時に花を咲かせたり、バイオ燃料の生産、土壌不良な環境でも穀物や果実を生産できる技術での活用が期待されている。