独立行政法人「日本学生支援機構」は09年度、景気の急激な落ち込みで修学困難に陥った学生のための緊急奨学金の枠を2倍の8000人に増やすと発表した。また、過去に借りた奨学金の返済滞納者も増加しており、返済猶予を認める対象枠も大幅拡大する他、海外留学する人への有利子奨学金の枠も大幅拡大する。
学生支援機構の奨学金の対象は、大学や短大、高等専門学校などの学生。家計の急変に対応する無利子奨学金は、従来は年4000人分の貸与枠があり、07年度は約2100人、08年度は約1900人が利用した。本年度は景気の急激な落ち込みで修学困難に陥った学生のため緊急奨学金の枠を2倍の8000人に増やすとしている。
また、奨学金の返済猶予を認める対象についても従来の2・5倍にあたる10万人に拡大すると発表した。
学生支援機構によると、就職難などの影響で奨学金を3か月以上滞納している人は毎年増加し、今年3月末時点では20万3000人。昨年から、債権回収機構に督促を委託したため、この1年は経済状況が激変したにもかかわらず、増加の幅は3000人にとどまっているが、5年前との比較では3万人以上も増えている。
返済猶予については、卒業の半年後から始まる返済を今年度から最長5年間見合わせるとした。