校舎建て替えのためプレハブの仮設校舎で授業をしている沖縄県立沖縄工業高校(那覇市)で、教室内の高温が原因で体調不良を訴える生徒が続出している。
断熱が不十分のため、日中の教室内は常時34~35度、窓際の席では40度を超えることもあるという。学校側は県にクーラー導入を求めているが、予算の制約で見通しは立っていない。
6月17日の梅雨明け後、沖縄では連日猛暑が続いている。この2週間ほど、同校では連日20人前後の生徒が「熱っぽくて体がだるい」「気分が悪い」などと訴えて保健室を訪れ、氷のうを受け取って教室に戻っていくという。
建て替えのため昨年11月に全27学級中26学級が現在の2階建ての仮設校舎に移った。新校舎は来年2月に完成予定。取り壊す前の校舎では例年5月中旬から10月中旬ごろまで校内でエアコンを入れていたといい、夏休み後も約2カ月間はクーラーが必要な期間が続く。
瑞慶山(ずけやま)正校長は昨年の段階から猛暑対策の必要性を県教育庁に指摘してきた。窓側に遮光ネットを張ったほか、6月末には屋根にスプリンクラーを設置し「打ち水効果」を狙った。だが、仮設校舎が立っている敷地は直射日光を受けるうえ、若干くぼ地になっているため風が通らず、校舎内が構造的に高温の状態になっているという。また遮光ネットに加え窓に新聞紙などを張り、直射日光対策を取っている。
クーラーを設置した場合、設置費用や電気代などで1600万円以上の費用がかかる見込み。県教育庁の担当者は「対策を講じたつもりだったが、これほど高温になるとは想定外。生徒たちには申し訳ないが、校舎建て替えにかかる予算しか計上しておらず、(クーラー)設置の費用はない」と話す。
瑞慶山校長は「生徒たちは暑さを言い訳にせず授業をきちんと受けてくれているが、はっきり言って学習する環境ではない。県には何とか抜本的な対策をとってほしい」と切望している。
視察し説明を受けた仲村守和県教育長は「これじゃ暑さはしのげない」と漏らし、「何人も熱中症になっていると聞く。生徒の命と健康を守る立場で、(クーラーを)どう設置するか、前向きに検討していきたい」と表明。具体的な設置時期については「夏休み明けの九月に実現できれば」と話した。
また沖縄工業高校同様、プレハブ仮設校舎を使用している久米島高校、宜野座高校、与勝高校についても学習環境と生徒の健康面の調査を行っているという。仲村教育長は
「沖縄で仮設校舎を使う場合にはクーラーは必需品ではないかと考えている」と述べ、今後仮設校舎使用の際は冷房設置の予算措置を検討する方針を示した。
文部科学省が快適な学習環境の基準を定めた「学校環境衛生の基準」の中で、教室内の室温は「夏期で25度から28度が望ましい」とされている。