広島県廿日市市四季が丘の私立くすのき幼稚園で2008年11月、年少児クラスの野田かりんちゃん(当時3)が、すべり台で死亡した事故をめぐり、両親ら遺族3人が幼稚園を運営する学校法人樟(くすのき)学園と広島県などを相手取り、計約4500万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、広島県地方裁判所は27日、幼稚園側に約2280万円の支払いを命じた。
すべり台で遊んでいたかりんちゃんは、毛糸の防寒着の一部が手すりに引っかかって首が締まり、9日後に死亡した。すべり台は、職員室などから全体が見えない位置にあり、見守りの教諭なども配置されていなかった。
植屋伸一裁判長は「危険防止のため、衣服などにも注意を促すとともに、園児の行動を監視したり、ただちに救護措置を取ったりできるよう、少なくとも園庭に職員1人を配置する義務があったのに怠った」と幼稚園側の安全配慮義務の過失を認めた。広島県の指導責任については、「国家賠償法上違法とまでは認めることはできない」と判断し、両親の広島県にも賠償責任があるとの主張を退けた。
園長と担任教諭ら3人は2009年3月、業務上過失致死容疑で書類送検されたが、2009年12月、嫌疑不十分で不起訴になっている。